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信用損失の会計

2024年7月25日



2023年から、アメリカの小規模な上場企業、非上場企業、非営利団体に対して、信用損失(Credit Losses)に関する新しい基準が施行されています。この基準は、主に銀行や金融機関に影響を与えますが、売上債権や受取手形、満期保有目的債権、契約資産を持つ一般企業にも一定の影響を与える可能性があります。


アメリカの大手上場企業は、2021年(CARES ACTによる1年間の延期を含む)までにこの基準を採用することが義務付けられていました。JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ等の大手金融機関は、CECLモデル(現在予想信用損失モデル)を導入せざるを得なくなったため、結果として2022年に数十億ドルのクレジットカード債務による損失を計上することになりました。


Risk Management Associationが実施した調査によると、回答に応じた小規模金融機関の84%が、経済状況が不安定な状況を受けて、クレジットカード債務のような信用損失を最大の懸念事項として挙げています。


Accounting Standards Update (ASU) No. 2016-13, Financial Instruments – Credit Losses (Topic 326): Measurement of Credit Losses on Financial Instrumentsによると、CECLモデルとは、金融機関や信用供与を行う企業に、予想可能な期間にわたって貸付金の損失を見積もり、その見積もった損失を直ちに計上するように求めるものです。しかし、今日の不安定な市場環境において将来の損失を正確に予測するということはとても困難です。


更新されたガイダンスでは、企業がCECLを推定する際に、過去の情報、現在の状況、および合理的で支援可能な予測に基づいて行うことを要求しています。これに対し、以前のルールは過去の情報のみに依存していました。


例えば、ASU 2016-13の採用前は、企業は一般引当金と顧客特定引当金に基づいて売掛金の貸倒引当金を見積もっていました。一般引当金は売掛金に過去の貸倒実績の平均比率を掛けて計算し、顧客特定引当金は通常、顧客が長期間(数ヶ月以上)の延滞の後に支払いを行わず、企業が延滞を追跡した後でも支払う兆候が見られない場合に決定されます。また、報告日までに顧客からの回収が疑わしいと管理が判断するような事象が発生した場合も、顧客特定引当金を考慮することがあります。


ASU 2016-13の採用後は、売掛金に対するCECLを見積もる際に、上記の過去の情報の分析に加えて、顧客の経済状況、信用格付け、業界、および将来の支払い能力に影響を与える可能性のある予測などの他の要素も考慮することが求められます。


新しいルールでは、金融機関や信用供与を行っている小規模の公開企業、非公開企業、非営利団体に対し、売掛債権を定期的にモニタリングし、実際に回収が見込まれる金額を財務諸表に反映するよう求めています。また、計上した貸倒引当金は、延滞債権や評価損の増加が見込まれる場合は、引当金を増やし、逆に経済見通しが明るくなると予測した場合は引当金を減らします。


CECLモデルは、従来の引当金の基準から大きく変更されています。どのように採用すべきか不明な場合は、お気軽にご相談ください。

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